アルミの基礎知識

アルミの基礎知識

アルミニウムの歴史は、1807年、英国の学者によって発見された原子番号13の金属「アルミアム」から始まります。

多くの優れた性質によって急速に需要を伸ばすアルミニウムは、2008年には世界総生産量が4,000万トンを超え、これは金属材料の中では鉄に次いで2番目と、もはや世の中にとって不可欠な材料へと移り変わります。
そして、再生利用性の高いアルミニウムは国民性も手伝い日本は消費量で世界第3位になります。

私たちの身近な製品から、社会のさまざまな分野にいたるまで活躍のフィールドを広げているアルミニウム。これはアルミニウムの持つ優れた特性が、多くの用途や目的に合わせてうまく利用されているからにほかなりません。

硬化や合金、熱処理などの加工をすることによって、アルミニウムの強度は加工前と比べ最大限に高まります。合金の中には特殊鋼なみの引っ張り強度が非常に高いものがあり、構造材として威力を発揮しています。
さらに、アルミニウムは、低温になるにつれて引張り強度が増すという独特の特性を持っているため、低温プラントの構造材、装置などに適しています。

アルミニウムは空気と接触すると表面に酸化皮膜ができます。その皮膜が、錆びや腐食を防ぎます。そこで、建築用材、エクステリア、土木関連の製品などに利用されています。

アルミのメリット

1.軽くて強い

アルミニウムの比重は2.7gです。鉄(7.8g)や銅(8.9g)と比べると3分の1です。
小型化、軽量化による運輸コスト削減や性能の向上が望まれている近頃、特に自動車、鉄道車両、航空機など輸送分野で多くのアルミニウムが活用されています。

軽さを生かして、各種機械の高速回転部品や摺動部品の作業効率を高めたり、装置の大型化による重量増加を押さえるなど、さまざまな効果をもたらしています。

2.熱をよく伝え、急速に冷えることができる

アルミニウムの熱伝導率は鉄の約3倍です。それは、急速に冷えるという性質をもっていることにもつながります。この性質は、冷暖房装置・エンジンの部品・熱交換器・パソコンの放熱ヒートシンク・ソーラーコレクター、また飲料缶などに活用されています。また、プラスチックやゴムの成形用金型などの新分野にもアルミニウムが使われます。

3.美しく安全

サビで汚れたりすることがなく、無害、無臭で、衛生上からも人体に安全で、清潔感あふれた素材です。様々な食品や医薬品の包装、飲料缶、医療機器および家庭用器物など健康の分野でも広く採用されています。

4.加工しやすい

アルミニウムは塑性加工がしやすく、さまざまな形状に整形することが可能です。様々な種類があり、軟硬や伸展性を選べることができ、管・棒・板・線・形材・鋳物・金型などの工具類や機械部品などの形状に加工されやすい特性を持ちます。

5.リサイクルしやすいエコ素材

アルミニウムは、廃品となっても簡単に再利用することができます。腐食しにくく融点が低いため、使用後のアルミ製品を溶かすことが容易です。飲料缶では、空缶を回収し再資源化するリサイクル活動も行われており、エコ活動のにも大変大きな役割を担っています。

アルミの基礎知識

1000系アルミニウム(純アルミニウム)

1000番台の表示は工業用純アルミニウムを示します。1100や、1200が代表的なもので、いずれも99.00%以上の純アルミニウム系材料のことです。また、1100は陽極酸化処理 (アルマイト) 後光沢をだすCuが微量添加されています。

そのほか、1050、1070、1085は、それぞれ、純度99.50、99.70、99.85%以上の純アルミニウム材料のことを指します。 これらの材料は加工性、耐食性、溶接性などは大変優れているのでが、強度が低いので構造材などの建築物などには向いていません。しかし、それほど強度を必要としていない家庭用品や電気器具、日用品などに多く使われています。

2000系アルミニウム(Al-Cu系)

2017、2024は、ジュラルミン、超ジュラルミンの名称で知られています。これらは、鋼材と同等の強度があります。しかし、他と比べると多量の銅を含むので、耐食性に劣ります。雨風にさらさせるなど、腐食する可能性のある環境で使われる場合には、十分な防食処理が必要です。

2014は、高強度鍛造材として知られています。 しかし、溶融溶接性は他のアルミニウム合金と比べると、劣るため結合にはおもにボルト接合、抵抗スポット、リベット溶接が行われます。また、2014の特長として、切削性が良好でということです。 特に2014に、Pb、Biを添加した2011は、快削性合金として機械部品等に多く使用されています。

3000系アルミニウム(Al-Mn系)

3000系合金の中の3003は3000系の代表的な合金です。 Mnを添加したことによ純アルミニウムのもつ加工性、耐食性を低下させずに強度を増加させたものである。 建材や器物、容器等に多く使用されています。

3003に相当する合金にMgを1%ほど、添加した3004、3104は、さらに強度を増加さえて、アルミ缶のボディ、屋根板材、カラーアルミ、ドアパネル材等に多く使用されています。

4000系アルミニウム(Al-Si系)

非熱処理によって用いられるアルミ合金です。 耐摩耗性の高い合金として4032があります。Siの添加により熱膨張率を抑え、耐摩耗性の改善を行ったもので、さらにCu、Ni、Mgなどの微量添加により耐熱性を向上させ、鍛造ピストン材料等に多く使用されています。

4043は融点が低いという特徴を生かしてろう材として用いられるほか、Si粒子の分散により陽極酸化処理被膜が灰色であるため、、溶接ワイヤー、建築用パネルにも使用されます。

5000系アルミニウム(Al-Mg系)

Mg添加量の少ないものは装飾材などに、多いものは、缶蓋材や構造材に用いられています。中程度のMgを含有するものとしては5052が代表的で中程度の強度をもつ材料としてもっとも一般的なものです。

5083はMg含有量の多い合金で非熱処理合金としては最も優れた強度をもち、溶接性も良好です。 実用上の面からは防食処理としての表面処理は必要としません。 溶接構造材として船舶、温用タンク、圧力容器、 自動車用ボディパネル(インナーパネル・アウターパネル)等に使用されています。

6000系アルミニウム

Al-Mg-Si系合金で、強度、耐食性が良好です。代表的な構造用材や自動車用ボディパネル(インナーパネル・アウターパネル)に使用されています。 しかし、溶接のままでは継手効率が低く、ビス、リベット、ボルト接合による構造組立が行われることがあります。

6061-T6は耐力245N/mm2以上でSS400鋼に相当し、設計上、たわみを問題としなければ、同等の許容応力がとれるという利点がある。 特別な処理及び製造管理により低温短時間の加熱によって高いベークハード性を示します。これにより一層の軽量化が期待できます。 鉄塔、クレーンなどに用いられる。6063は応力腐食割れにも強く、押し出し性にも優れます。サッシなどの建築材料を中心に、6061ほど強度を必要としない構造材として使用されます。

7000系アルミニウム

熱処理を行うことで、最も高い強度を得ることができます。 Al-Zn-Mg-Cu系合金と、Cuを含まない溶接構造用Al-Zn-Mg合金に分類できます。 後者はわが国では、いわゆる三元合金として親しまれている。 Al-Zn-Mg-Cu系合金の代表的なものは7075で、航空機、スポーツ用品類に使用されています。 Al-Zn-Mg合金は比較的高い強さをもち、この材料は600N/mm2もの強度を誇ります。

溶接後の熱影響部も自然時効により母材に近い強さに回復するため、優れた継手効率が得られます。7N01がその代表的合金で溶接構造用材料として新幹線車両用などの鉄道車輌等に使用されます。

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